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Lectures and Seminars

講義と演習


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2012年度
□2014年度(平成26年度)

岡山大学 文学部/大学院社会文化科学研究科

美学1「自然の美学」(大学院・前期月曜4限)
芸術が美しいのはまるで自然のように見えるときであり,自然が美しいのはまるで芸術のように見えるときだと語ったイマヌエル・カントを引き合いに出すまでもなく,「美」なるものは「芸術」と「自然」の双方にまたがって,その双方の複雑で逆説的な関係のうえに成立しています。この授業では,昨年日本語訳されたマルティン・ゼール『自然美学』(原著1991年)を講読しながら,自然と芸術,さらには自然と人間の関係について,美学の観点から再考します。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,美学における「自然」の問題系についての基礎知識を確認します。そのあとは毎回テクストを読み,内容について議論をおこないます。受講者には適宜,テクストの読解分析の報告や議論への参加などを求めます。テクストは日本語訳をもちいますので,下記の書籍を各自で入手してください。

教科書:マルティン・ゼール『自然美学』加藤泰史・平山敬二監訳,法政大学出版局,2013年(5000円+税,ISBN:978-4-588-01002-6)


芸術学概説1「現代の芸術哲学」(学部・前期月曜5限)
芸術とはなにか,しかもいまこの時代にとって芸術になんの意味があるのか――この問いかけこそ,今日の芸術がつねに向き合っている問いです。芸術は,たとえば幸福の追求として,あるいは真理の探究として,または社会の鏡として,そして病理の治療として,そのつど多面的な相貌を見せます。本講義では,芸術とはなにかという問いかけが本格化した20世紀以降の芸術と哲学を概観しながら,「芸術」なるものについての理論的な理解を深めます。とりわけ影響力のあった芸術家や哲学者の言葉を読み,それを具体的な芸術作品と照らし合わせつつ,講義を進めていきます。

1 導入
2 問題――現代の芸術
3 発見――ベルクソン
4 直観――クローチェ
5 現実――オルテガ
6 技術――ベンヤミン
7 想像――ブルトン
8 小括
9 認識――レヴィ=ストロース
10 社会――アドルノ
11 解釈――バルト
12 伝統――アガンベン
13 環境――ガタリ
14 世界――グリッサン
15 総括

「現代の芸術哲学」読書案内[PDF]


美学演習「調和/不調和の美学――音楽論と宇宙論の系譜学」(学部・前期火曜2限)
美学演習「調和/不調和の美学――音楽論と宇宙論の系譜学(続)」(学部・後期火曜2限)
西洋では古代ギリシアのピュタゴラス以来,宇宙は音楽を一つのモデルにして理解され,音楽もまた宇宙を映す鏡と見なされてきました。今日でも芸術と科学にまたがって――さらには社会や政治にまで――もちいられる「調和」としての美(そして「不調和」としての醜)という観念は,ピュタゴラス主義の系譜に淵源します。本演習では,近年の重要な研究文献であるダニエル・ヘラー=ローゼン『第五の鎚――ピュタゴラスと世界の不調和』(Daniel Heller-Roazen, The Fifth Hammer: Pythagoras and the Disharmony of the World [2011])を講読しながら,古代から近代にいたる西洋の音楽史と哲学史をたどりなおして,〈調和/不調和〉の美学を再考します。

はじめの数回は概説として,西洋音楽美学史の基礎知識を確認します。そのあとは毎回テクスト(英語)を読み,日本語訳をしながら,内容について議論をおこないます。受講者には適宜、テクストの日本語訳や議論への参加などを求めます。

* 講読したテクスト:
・Daniel Heller-Roazen, The Fifth Hammer: Pythagoras and the Disharmony of the World, New York: Zone Books, 2011.

* 参照したテクスト
・ウンベルト・エーコ編『美の歴史』植松靖夫監訳、東洋書林、2005年(第三章「均衡と調和の美」)
・ジェイムズ・ハー「宇宙のピュタゴラス的調和」塚本明子訳、『天の音楽・地の音楽』所収、平凡社、1988年
・G・L・フィニー「調和またの名は音楽の喜び」村上陽一郎訳、『天の音楽・地の音楽』所収、平凡社、1988年
・津上英輔「諸天体の構造的響和――プトレマイオスの宇宙調和論」、今道友信編『精神と音楽の交響』所収、音楽之友社、1997年
・徳丸吉英、平野健次「表象としての音楽」、『表象としての音楽』(岩波講座「日本の音楽・アジアの音楽」第6巻)所収、岩波書店、1988年
・木戸敏郎「四人の王仁――伝統音楽における空間の概念」、木戸敏郎『若き古代――日本文化再発見試論』所収、春秋社、2006年
・藤枝守『響きの考古学』、音楽之友社、1998年(第一章「古代ギリシャの音律」、第四章「西欧の音律」)
・アルフレッド・W・クロスビー『数量化革命』小沢千重子訳、紀伊國屋書店、2003年(第八章「音楽」)
・ティム・インゴルド『ラインズ』工藤晋訳、左右社、2014年(第一章「言語・音楽・表記法」)
・岡部宗吉「ヴィンチェンツォ・ガリレイの音律論」、『美学』第55巻2号(218号)、2004年
・風間喜代三『ことばの身体誌』、平凡社、1990年(V.「数」)
・岡田温司『イメージの根源へ』、人文書院、2014年(「愛のチューニング」「ニュートンと画家たち」)


現代芸術と哲学(教養・前期火曜3限)
この授業では,20世紀以降の芸術文化と哲学思想の交流に眼を向けつつ,今日における「芸術」の多様な在り方を歴史的に概観します。現代の芸術家たちは,「芸術とはなにか」という根本的な問いに向き合うなかでしばしば哲学者たちと対話を繰り広げ,たんに個々の作品を制作するだけでなく,ひとつの運動として活動を展開してきました。とりわけ影響力のあった芸術運動を取りあげて,その作品の数々を検討しながら,講義を進めていきます。

1 導入
2 芸術の近代と現代
3 キュビスム
4 未来主義
5 絶対主義/構成主義
6 表現主義
7 ダダ
8 シュルレアリスム
9 小括
10 抽象表現主義/アンフォルメル
11 ネオダダ/ポップ・アート
12 ミニマル・アート
13 コンセプチュアル・アート
14 ランド・アート/環境芸術
15 総括

「現代芸術と哲学」読書案内[PDF]


美学講義「美学の歴史と理論」(学部・後期月曜3限)
人類誕生以来,数知れないほどの芸術が生みだされてきましたが,それと同じくらい古くから人間はその芸術について考え,語りあい,書きしるしてきました。本講義では,古代から近代にいたる西洋の思想を概観しながら,「芸術」なるものをめぐるさまざまな考え方を歴史的に見ていきます。歴史的に重要なテクストを読み,西洋美術の展開も確認しつつ,講義を進めていきます。

1 導入
2 感性――美学の誕生
3 真理――プラトン/プロティノス
4 浄化――アリストテレス
5 感情――キケロ/偽ロンギノス
6 記憶――ダマスコスのヨアンネス
7 物語――オリゲネス/アルベルティ
8 創造――トマス・アクィナス/フィチーノ
9 小括
10 多様――ブルーノ
11 比喩――ヴィーコ
12 趣味――グラシアン/ヒューム
13 歴史――ヴァザーリ/ヘーゲル
14 遊戯――シラー
15 総括


美学演習1「人間の美学」(大学院・後期火曜4限)
均斉のとれた四肢,顔や瞳の輝き,えも言われぬ雰囲気……人間について語られる「美しさ」は,直接的に感じ取られる魅力でありながらも,実のところ宗教・医学・数学・言語学・政治学などの諸々の知識が交錯するなかで歴史的にかたちづくられてきた人間の感性の帰結でもあります。この授業では,ダヴィデ・スティミッリ『不死の顔――観相学と批評』(Davide Stimilli, The Face of Immortality: Physiognomy and Criticism [2005])を講読しながら,古代から現代にいたる美術史と思想史を往還しつつ,人間にまつわる「美」の諸相を再考します。

はじめの数回は概説として,美学における「人間」の問題系についての基礎知識を確認します。そのあとは毎回テクスト(英語)を読み,日本語訳をしながら,内容について議論をおこないます。受講者には適宜,テクストの日本語訳や議論への参加などを求めます。

* 講読したテクスト:
・Davide Stimilli, The Face of Immortality: Physiognomy and Criticism, New York, State University of New York Press, 2005.

* 参照したテクスト:
・ダニエル・アラス「肉体、優美、崇高」市川慎一訳、アラン・コルバンほか監修『身体の歴史』第1巻所収、藤原書店、2010年
・ベルトラン・プレヴォー「コスミック・コスメティック――装いのコスモロジーのために」筧奈菜子・島村幸忠訳、『現代思想』第43巻第1号(2015年1月号)、2015年