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Lectures and Seminars

講義と演習


2016年度
□2015年度
2014年度
2013年度
2012年度
□2015年度(平成27年度)

岡山大学 文学部/大学院社会文化科学研究科

美学2「布の美学」(大学院・前期月曜4限)
美術史家にして哲学者ジョルジュ・ディディ=ユベルマンの著書『ニンファ・モデルナ』(2002)の読解と検討をおこないます。ルネサンス美術に繰り返し描かれた衣を翻して歩む若き女性像を,美術史家アビ・ヴァールブルクは「ニンファ」と名づけ,文学者・美術史家アンドレ・ジョレスとの未完の研究構想「ニンファ・フィオレンティーナ」を残しました。その構想をきわめて自由に展開し,翻って滑り落ちる布のイメージをルネサンス美術から現代の写真や映画にまで辿ったディディ=ユベルマンとともに,取りあげられた作品の数々を実際に分析しなおしながら,芸術と歴史がとりもつ錯綜した関係を再考します。あわせて,ヴァールブルクのほか,関連する美術史家や哲学者たち,ジョルジョ・アガンベン,フィリッポ・フィミアーニ,田中純,ベルトラン・プレヴォーらの研究文献も検討します(受講者にあわせて日本語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・英語文献を使用します)。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,ヴァールブルク+ジョレス「ニンファ・フィオレンティーナ」研究構想の概要を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,重要作品を分析しながら,議論をおこないます。受講者には適宜,文献読解および作品分析の報告,外国語文献の翻訳,議論への参加などを求めます。ディディ=ユベルマン『ニンファ・モデルナ』については日本語訳をもちいますので,下記の書籍を各自で入手してください。

教科書:ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『ニンファ・モデルナ――包まれて落ちたものについて』森元庸介訳,平凡社,2013年(3000円+税,ISBN: 978-4-582-70280-4)

* 参照したテクスト:
・「ジョルジュ・ディディ=ユベルマンに聞く」(橋本一径によるインタヴュー)、『フォトグラファーズ・ギャラリー・プレス』第10号、2011年
・森元庸介「書評 Georges Didi-Huberman, Devant le temps: Histoire de l'art et anachronisme des images」、『西洋美術研究』第9号、2003年
・アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』(ヴァールブルク著作集別巻1)、ありな書房、2012年(パネル46, 47, 77)
アビ・ヴァールブルク+アンドレ・ジョレス「フィレンツェのニンファ──ニンフ・プロジェクトの断片」田中純訳、2014年
・アビ・ヴァールブルク+アンドレ・ジョレス「フィレンツェのニンフ」加藤哲弘解説、アビ・ヴァールブルク『怪物から天球へ』(ヴァールブルク著作集別巻2)所収、ありな書房、2014年
・田中純『アビ・ヴァールブルク――記憶の迷宮』、青土社、2001年
・ジョルジョ・アガンベン「ニンファ」高桑和巳訳、『ニンファ その他のイメージ論』所収、慶應義塾大学出版会、2015年


芸術学演習「アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』読解(続)」(学部・前期月曜5限および水曜2限)
美術史家アビ・ヴァールブルクが晩年に取り組んだ未完の図像集『ムネモシュネ・アトラス』の読解と検討をおこないます。『ムネモシュネ・アトラス』は,西洋の古代から現代にいたるおよそ1000点の図像を,複数の黒地パネル(現存する最終版の記録写真では63枚)のうえに縦横に配置して,西洋文化の歴史を可視化しようとしたものです。日本語版を手引きに,重要なパネルを一つ一つ検討していきます。

はじめの数回の授業は,ヴァールブルクとその『ムネモシュネ・アトラス』に関する概説をおこない,基礎知識を確認します。そのあとは毎回,受講者が各自に割り当てられたパネルの分析結果を報告し,考察と議論をおこないます。あわせて重要な研究文献の読解もおこないます(日本語文献を主としますが,受講者にあわせてドイツ語・英語・フランス語・イタリア語文献を取りあげる場合もあります)。受講者には適宜,担当分のパネル分析と文献読解の報告,外国語文献の翻訳,毎回の議論への参加などを求めます。

教科書:ヴァールブルク『蛇儀礼』三島憲一訳,岩波文庫,2008年(560円+税,ISBN: 978-4-00-335721-7)

* 分析したパネル:4, 5, 7, 31, 42, 52, 74, 79.

* 参照したテクスト:
・アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』、ありな書房、2012年
・フリッツ・ザクスル「ヴァールブルク文庫とその目的」佐川美智子訳、『シンボルの遺産』所収、ちくま学芸文庫、2005年
・ゲルトルート・ビンク「イタリア語版『ヴァールブルク著作集』への序文」竹山博英訳、松枝到編『ヴァールブルク学派』所収、平凡社、1998年
・エトガー・ヴィント「ヴァールブルクにおける「文化学」の概念と、美学に対するその意義」、『シンボルの修辞学』所収、晶文社、2007年
・カルロ・ギンズブルグ「ヴァールブルクからゴンブリッチへ」、『神話・寓意・徴候』所収、せりか書房、1988年
・田中純「イメージの系統樹――アビ・ヴァールブルクのイコノロジー」、中尾央・三中信宏編『文化系統学への招待――文化の進化パターンを探る』所収、勁草書房、2012年
・加藤哲弘「もう一つのイコノロジー――アビ・ヴァールブルクとイメージの解釈学」、『美学』第43巻第2号、1992年


現代芸術と哲学(教養・前期火曜3限)
この授業では,20世紀以降の芸術文化と哲学思想の交流に眼を向けつつ,今日における「芸術」の多様な在り方を歴史的に概観します。現代の芸術家たちは,「芸術とはなにか」という根本的な問いに向き合うなかでしばしば哲学者たちと対話を繰り広げ,たんに個々の作品を制作するだけでなく,ひとつの運動として活動を展開してきました。とりわけ影響力のあった芸術運動を取りあげて,その絵画・彫刻・音楽・舞台・映画・写真・文芸等の作品を検討しながら,講義を進めていきます。

1 導入
2 芸術の近代と現代
3 キュビスム
4 未来主義
5 絶対主義/構成主義
6 表現主義
7 ダダ
8 シュルレアリスム
9 小括
10 抽象表現主義/アンフォルメル
11 ネオダダ/ポップ・アート
12 ミニマル・アート
13 コンセプチュアル・アート
14 ランド・アート/環境芸術
15 総括

「現代芸術と哲学」読書案内[PDF]


美学演習「レオナルド・ダ・ヴィンチとルネサンスの美学」(学部・後期月曜5限および水曜2限)
ルネサンスの「万能人」として知られるレオナルド・ダ・ヴィンチの芸術と思想を検討します。レオナルドは絵画をなによりも「精神的なもの」と捉えましたが,そこには,言葉と図像,芸術と自然,人間と世界の関係に関する特異な洞察が秘められています。レオン・バッティスタ・アルベルティからジョルジョ・ヴァザーリにいたるルネサンスの芸術論にも照らし合わせながら,考察していきます。

はじめの数回の授業は,レオナルドの芸術と思想に関する基礎知識を確認します。そのあとは,受講者が各自に割り当てられた作品の分析結果を報告し,考察と議論をおこなうとともに,レオナルドの手記をはじめ重要文献の読解もおこないます(受講者にあわせて日本語・イタリア語・ラテン語・英語・フランス語・ドイツ語文献を取りあげます)。受講者には適宜,担当分の作品分析と文献読解の報告,外国語文献の翻訳,毎回の議論への参加などを求めます。

教科書:レオナルド・ダ・ヴィンチ『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』杉浦明平訳,岩波文庫,1954−1958年(上巻:780円+税,ISBN: 978-4-00-335501-5/下巻:900円+税,ISBN: 978-4-00-335502-2)。

* 参照したテクスト:
・レオナルド・ダ・ヴィンチ『絵画の書』斎藤泰弘訳、岩波書店、2014年
・松浦弘明「レオナルドの絵画・素描」、池上英洋編『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』所収、東京堂出版、2007年
・岡田温司『肖像のエニグマ』、岩波書店、2008年(第1章「眼差しと微笑み」)
・ダニエル・アラス『モナリザの秘密』吉田典子訳、白水社、2007年(第2章「《モナリザ》」、第10章「レオナルド・ダ・ヴィンチの遠近法」)
・エルンスト・ハンス・ゴンブリッチ『規範と形式』岡田温司・水野千依訳、中央公論美術出版、1999年(第5章「レオナルドの構図作成法」)
・Ernst Hans Gombrich, The Heritage od Apelles, Oxford: Phaidon, 1976. ("The Form of Movement in Water and Air")
・Ernst Hans Gombrich, New Light on Old Masters, Oxford: Phaidon, 1986. ("Leonardo on the Science of Painting: Towards a Commentary on the 'Trattato della Pittura'")


芸術学概説1「現代の芸術哲学」(学部・後期火曜2限)
芸術とはなにか,しかもいまこの時代にとって芸術になんの意味があるのか――この問いかけこそ,今日の芸術がつねに向き合っている問いです。芸術は,たとえば幸福の追求として,あるいは真理の探究として,または社会の鏡として,そして病理の治療として,そのつど多面的な相貌を見せます。本講義では,芸術とはなにかという問いかけが本格化した20世紀以降の芸術と哲学を概観しながら,「芸術」なるものについての理論的な理解を深めます。とりわけ影響力のあった芸術家や哲学者の言葉を読み,それを具体的な絵画・彫刻・音楽・写真・映画等の作品と照らし合わせつつ,講義を進めていきます。

1 導入
2 問題――現代の芸術
3 発見――ベルクソン
4 直観――クローチェ
5 現実――オルテガ
6 技術――ベンヤミン
7 想像――ブルトン
8 小括
9 認識――レヴィ=ストロース
10 社会――アドルノ
11 解釈――バルト
12 伝統――アガンベン
13 環境――ガタリ
14 世界――グリッサン
15 総括

「現代の芸術哲学」読書案内[PDF]


美学演習2「雲の美学」(大学院・後期火曜4限)
美術史家にして哲学者ユベール・ダミッシュ最初の主著『雲の理論』(1972)の読解と検討をおこないます。変幻自在のかたちをとる雲は,ときには空想や無意識のスクリーンとして,はたまた芸術創造のモデルとして,あるいは地上と天上の境界として,そして万物の気の表出として,きわめて古くから人間の芸術と思想をたえず誘発してきました。そうした「理論的対象」としての/雲/を,ダミッシュとともに美術史と思想史を往還しながら辿ります。あわせて,関連する美術史家たち,ピエール・フランカステル,メイヤー・シャピロー,エルンスト・ハンス・ゴンブリッチ,ダリオ・ガンボーニらの研究文献も検討します(受講者にあわせて日本語・フランス語・イタリア語・英語・ドイツ語文献を使用します)。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,雲をめぐる芸術理論の基礎知識を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,重要作品を分析しながら,議論をおこないます。受講者には適宜,文献読解および作品分析の報告,外国語文献の翻訳,議論への参加などを求めます。ダミッシュ『雲の理論』については日本語訳をもちいますので,下記の書籍を各自で入手してください。

教科書:ユベール・ダミッシュ『雲の理論――絵画史への試論』松岡新一郎訳,法政大学出版局,2008年(4300円+税,ISBN: 978-4-588-00896-2)

* 参照したテクスト
・Hubert Damisch, Yve-Alain Bois, Denis Hollier, and Rosalind Krauss, "A Conversation with Hubert Damisch," October, No. 85, Summer 1998, pp. 3-17.
・エルンスト・ハンス・ゴンブリッチ『芸術と幻影』瀬戸慶久訳、岩崎美術社、1979年(第6章「雲のイメージ」)
・ピロストラトス『テュアナのアポロニオス伝』第一巻、秦剛平訳、京都大学学術出版会、2001年
・ピエール・フランカステル『絵画と社会』大島清次訳、岩崎美術社、1968年



京都造形芸術大学 大阪藝術学舎

集中講義「ルネサンスの哲学と絵画――絵画を描くように哲学した諸世紀」(夏季集中)
ルネサンスのヨーロッパ。イタリアを中心に、多彩な新しい芸術が生まれたこの時期、哲学もまた、人文主義の名のもと、人間と世界、言葉と科学、社会と歴史、政治と文化に新たな鋭い洞察をもたらしました。しかも、ルネサンスの万能人たちが象徴するように、このとき哲学と芸術は分かちがたく結びついていました。本講義では、とくに絵画を導きの糸に哲学者たちの言葉を読み、近代の黎明を切り拓いた哲学の数々への理解を深めます。

まず、絵画を「精神的なもの」と捉えたレオナルド・ダ・ヴィンチを通して、ルネサンスの哲学と絵画の関係を確認します。そのうえで、「画家」の形象に着目しながら、人間なるものの理解がいかに刷新されたのかを、アルベルティ、フィチーノ、ガリレイとともに辿ります。ついで、「絵画」の譬喩に着目しながら、新しく政治・社会・宇宙にもたらされた洞察がいかなるものかを、マキアヴェッリ、モンテーニュ、ブルーノのうちに探ります。最後に、デカルトからヴィーコへといたるルネサンス以後の近代哲学の展開について、絵画に照らして展望します。

1 哲学者としての画家――レオナルド
2 哲学者にして画家――アルベルティ
3 神のごとき画家――フィチーノ
4 科学の画家――ガリレイ
5 政治の風景画――マキアヴェッリ
6 自己の装飾画――モンテーニュ
7 宇宙の肖像画――ブルーノ
8 絵画は考える――ルネサンス以後