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Lectures and Seminars

講義と演習


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岡山大学 文学部/大学院社会文化科学研究科

美学演習1「理論的対象の美学(続)」(大学院・前期月曜3限)
哲学者ルイ・マラン(Louis Marin, 1931-1992)の『絵画の不透明性』(Opacité de la peinture, 1989)の読解と検討をおこないます。マランによれば,ルネサンス絵画は近代の表象と記号の理論の基礎を提示しましたが,そこには過去の作品と現代の理論のアナクロニックな関係を理解する糸口があります。「理論的対象」の概念に集約される,過去と現在,作品と理論,の複雑な関係を,『絵画の不透明性』の読解およびルネサンス絵画の分析を通して考察します。あわせて,関連する哲学者・美学者・美術史家の研究文献も検討します(フランス語を中心に,受講者にあわせて英語・イタリア語・ドイツ語・日本語文献を使用します)。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,ルネサンス絵画と表象・記号の理論をめぐる基礎知識を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,重要作品を分析しながら,議論をおこないます。マラン『絵画の不透明性』はフランス語原書を用います。受講者には適宜,文献読解および作品分析の報告,外国語文献の翻訳,議論への参加などを求めます。


現代芸術と哲学(教養・第1学期火曜3・4限)
この授業では,20世紀以降の芸術文化と哲学思想の交流に眼を向けつつ,今日における「芸術」の多様な在り方を歴史的に概観します。現代の芸術家たちは,「芸術とはなにか」という根本的な問いに向き合うなかでしばしば哲学者たちと対話を繰り広げ,たんに個々の作品を制作するだけでなく,ひとつの運動として活動を展開してきました。とりわけ影響力のあった芸術運動を取りあげて,その絵画・彫刻・音楽・舞台・映画・写真・文芸等の作品を検討しながら,講義を進めていきます。

1 芸術の近代と現代
2 表現主義
3 キュビスム
4 未来主義
5 小括
6 構成主義/絶対主義
7 ダダ
8 シュルレアリスム
9 小括
10 抽象表現主義/アンフォルメル
11 ネオダダ/ポップ・アート
12 ミニマル・アート
13 コンセプチュアル・アート
14 ランド・アート/環境芸術
15 総括


「現代芸術と哲学」読書案内[PDF]


美学1「ジョルダーノ・ブルーノ『しるしのしるし』読解」(大学院・前期水曜2限)
哲学者ジョルダーノ・ブルーノ(Giordano Bruno, 1548-1600)の『しるしのしるし』(Sigillus sigillorum, 1583)を,ルネサンス期ヨーロッパの哲学思想と芸術文化に関連づけながら,読解と検討をおこないます。あわせて,関連する哲学者・美学者・美術史家の研究文献も検討します(受講者にあわせて日本語・ラテン語・英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語文献を使用します)。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,西洋ルネサンスの哲学と芸術に関する基礎知識を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,関連する哲学文献や芸術作品も検討しつつ,内容について議論をおこないます。ブルーノ『しるしのしるし』はラテン語原書をもちいますが,こちらで日本語訳を用意します。関連する文献読解および作品分析の報告,外国語文献の翻訳,議論への参加などを求めます。

*講読したテクスト:
・Giordano Bruno, Sigillus sigillorum [1583], in Opere mnemotechniche, a cura di Marco Matteoli et al., Milano, Adelphi, 2009.

*参照したテクスト:
・中畑正志『魂の変容』、岩波書店、2011年(第4章「ファンタシアーの変貌」)
・ジャン=スタロバンスキー『活きた眼II――批評の関係』、調佳智雄訳、理想社、1973年(「想像力概念の歴史的道標」)
・ジャン=ピエール・ヴェルナン『ギリシア人の神話と思想』上村くにこほか訳、国文社、2012年(第2章「時間と記憶の神話的様相」)
・ジャン=クロード・シュミット『中世の聖なるイメージと身体』小池寿子訳、刀水書房、2015年(序、第11章「想像力の有効性」)
・ジョルジョ・アガンベン『スタンツェ』岡田温司訳、ありな書房、1998年/ちくま学芸文庫、2008年


人文学講義(美学)/美学講義「機械時代の美学とその後」(学部・第2学期月曜7・8限および水曜1・2限)、人文学インタラクティブ講義(学部・第2学期月曜1・2限)
現代を「機械時代」と捉えた美学者中井正一(1900-1952)の重要論文を読解し,機械時代とその後の美学の課題を考察します。あわせて、関連する芸術作品を分析します。

* 講読したテクスト:
・中井正一「思想的危機における芸術ならびにその動向」(1932)
・中井正一「現代における美の諸性格」(1934)
・中井正一「近代美と世界観」(1947)
・中井正一「芸術における媒介の問題」(1947)

* 参照したテクスト:
・ヴァルター・ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」久保哲司訳、『ベンヤミン・コレクション』第1巻、ちくま学芸文庫、1995年
・篠原資明「機械の美学」、今村仁司責任編集『トランスモダンの作法』、リブロポート、1992年
・野家啓一「宇宙模型としての機械」、今村仁司責任編集『トランスモダンの作法』、リブロポート、1992年
・谷川渥『表象の迷宮』、ありな書房、1992年/新編、1995年(第6章「表象としての機械」)
・潮江宏三「比喩としての「機械」の概念をめぐって」、神林恒道編『現代芸術のトポロジー』、勁草書房、1987年


人文学の論点「美学入門」(学部・第2学期火曜6限)
「感性による認識についての学問」として誕生した美学の問題系を概観しながら,関連する芸術作品を分析します。

1. 感性、知性
2. 自然、技術、芸術
3. 空間
4. 時間
5. 模倣、表現、認識、存在
6. 普遍、個
7. 魂、意識
8. 美

教科書:中井正一『美学入門』,中公文庫,2010年(初版1951年)(552円+税,ISBN:978-4122053328)


美学演習2「理論的対象の美学(続々)」(大学院・後期月曜3限)
哲学者ルイ・マラン(Louis Marin, 1931-1992)の『絵画の不透明性』(Opacité de la peinture, 1989)の読解と検討をおこないます。マランによれば,ルネサンス絵画は近代の表象と記号の理論の基礎を提示しましたが,そこには過去の作品と現代の理論のアナクロニックな関係を理解する糸口があります。「理論的対象」の概念に集約される,過去と現在,作品と理論,の複雑な関係を,『絵画の不透明性』の読解およびルネサンス絵画の分析を通して考察します。あわせて,関連する哲学者・美学者・美術史家の研究文献も検討します(フランス語を中心に,受講者にあわせて英語・イタリア語・ドイツ語・日本語文献を使用します)。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,ルネサンス絵画と表象・記号の理論をめぐる基礎知識を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,重要作品を分析しながら,議論をおこないます。マラン『絵画の不透明性』はフランス語原書を用います。受講者には適宜,文献読解および作品分析の報告,外国語文献の翻訳,議論への参加などを求めます。


実践演習(美学)/美学演習「ルネサンスにおける言葉とイメージ 」(学部・第4学期月曜7・8限および水曜1・2限)
ルネサンスの芸術と思想を,言葉とイメージ,言語と図像,作品と理論との相互影響から検討します。ルネサンスのイタリアでは,多彩な芸術作品が生まれるとともに,それが理論言説によって考察されるようになります。後世の美学と美術史の成立の基礎になったその作品と理論の絡み合いを,「万能人」レオン・バッティスタ・アルベルティの『絵画論』をルネサンスの絵画作品と照らし合わせながら,考察していきます。

はじめの数回の授業は,イタリア・ルネサンスの芸術と思想に関する基礎知識を確認します。そのあとは,受講者が各自に割り当てられた文献読解・作品分析の結果を報告し,考察と議論をおこなうとともに,アルベルティ『絵画論』をはじめ重要文献の読解もおこないます(受講者にあわせて日本語・英語・ラテン語・イタリア語・フランス語・ドイツ語文献を取りあげます)。受講者には適宜,担当分の作品分析と文献読解の報告,外国語文献の翻訳,毎回の議論への参加などを求めます。

教科書:レオン・バッティスタ・アルベルティ『絵画論』(改訂新版),中央公論美術出版,2011年(2500円+税,ISBN: 978-4-8055-0675-2)



倉敷芸術科学大学 大学院芸術研究科

芸術学特論(川上幸之介・上尾真道との分担、集中)
本講では、川上(本学芸術学部)コーディネートの下、上尾真道先生(ジャック・ラカン、心理学史研究者)と岡本源太先生(岡山大学・美学)が、各々授業の前半と後半を担当し授業を開催する。現代アートに影響を与えている、心理学、哲学、美学を学び、現代アートの新たな展開を論究し、作品を構成する要素をさまざまな角度から再点検する。

1. オリエンテーション

上尾 真道(心理学)
この授業では20世紀の芸術を、精神障害とその臨床実践との関連から歴史的に取り上げる。19世紀末から現代にかけての主要な議論を振り返ることで、近年、注目されるアール・ブリュット/アウトサイダー・アートについて考えるための知識的基盤を獲得する。

1. イントロダクション
2. 19世紀:監禁実践と症状=作品
3. 精神分析:作家と無意識
4. 精神分析:レオナルド・ダ・ヴィンチ論
5. アール・ブリュット前史:プリンツホルン
6. アール・ブリュット前史:アドルフ・ヴェルフリ
7. J. デュビュッフェ:アール・ブリュット
8. アール・ブリュットとフランス思想
9. 総括

岡本 源太(美学)
今日の芸術は社会活動・政治問題・産業経済・科学技術などへ浸透しつつ、その表現領域をますます広げてきている。本講義では、ランシエールやアガンベンらの現代の哲学者・美学者の議論を芸術作品に照らし合わせながら、今日の芸術のありようを理論的に考察する。

1. 芸術の脱人間化
2. 芸術の脱物質化
3. 現代における芸術と政治
4. 現代における芸術と歴史
5. 現代における芸術と自然