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Lectures and Seminars

講義と演習


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岡山大学 文学部/大学院社会文化科学研究科

美学演習1「イメージの思考の美学」(大学院・前期月曜3限)
文化人類学者カルロ・セヴェーリ(Carlo Severi, 1952- )の『人格=対象』(L'Objet-personne, 2017/Ogetto-persona, 2018)の読解と検討をおこないます。命なきオブジェが人々に影響力をもち、「力」をふるうのはなぜなのか。数々の芸術作品とその空間を分析することから「イメージの思考」とも言うべき思考の形式を剔抉するセヴェーリの議論をたどります。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,文化人類学と美学の関係,セヴェーリおよび彼の師であるクロード・レヴィ=ストロースの芸術論,に関する基礎知識を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,関連する芸術作品を分析しながら,議論をおこないます。セヴェーリ『人格=対象』はフランス語版をもちいる予定ですが、受講者によってはイタリア語版を使用します。受講者には適宜,文献読解および作品分析の報告,外国語文献の翻訳,議論への参加などを求めます。

* 講読したテクスト:
Carlo Severi, L'Objet personne. Une anthropologie de la croyance visuelle, Paris, Éditions Rue d'Ulm-Musée du quai Branly, 2017.


高年次教養「トマス・モア『ユートピア』読解」(教養・第1学期月曜7・8限)
トマス・モア『ユートピア』の読解をおこない、あわせて関連するルネサンス期の哲学・文学・芸術を分析します。ヨーロッパではルネサンス以降、モア『ユートピア』を嚆矢として、理想の社会に関する多様な議論が「別世界」のイメージをとって展開されました。明に暗に現実世界を映し出すそのイメージを検討することで、現実がいかに虚構に映され、また虚構がいかに現実を変えるのかを考察します。

1. 導入
2. 理想の国、虚構の国
3. 世界のイメージ
4. トマス・モア
5. 人生と演劇
6. ルネサンス時代、大航海時代
7. 怪物、野蛮人、ユートピア人
8. 羊と泥棒
9. 犯罪と刑罰
10. 「もっと社会の現実生活に合った哲学」
11. 旅行記と地図
12. 島、街
13. 生活
14. 虚構と現実
15. 総括

教科書:トマス・モア『ユートピア』,中公文庫,1993年


実践演習(美学)「身体と空間をめぐる美学論考」(学部・第2学期月曜7・8限および水曜1・2限)
「身体と空間」を導きの糸に、毎回ひとつの美学論文を講読します。美と感性の理論のほか、絵画・彫刻・音楽・舞踊・文芸等の諸芸術を扱った論文を取り上げます。

はじめの数回の授業は,美学に関する基礎知識を確認します。そのあとは,受講者が各自に割り当てられた論文の読解結果を報告し,考察と議論をおこないます(受講者にあわせて日本語・英語・イタリア語・フランス語・ドイツ語文献を取りあげます)。受講者には適宜,担当分の論文の読解、関連作品の分析,外国語文献の翻訳,毎回の議論への参加などを求めます。

* 講読したテクスト:
・新田博衛『気ままにエステチックス』(1993)
・新田博衛「彫刻とはなにか」(1964)
・新田博衛「作品の構造」(1962)
・新田博衛「絵画空間について」(上・中・下)(1976, 1978, 1983)
・新田博衛「作られた空間・作られた時間」(1985)
・新田博衛「美は果敢ないものか」(1974)
・新田博衛「美的経験」(1984)


現代芸術と哲学(教養・第3学期火曜3・4限)
この授業では,20世紀以降の芸術文化と哲学思想の交流に眼を向けつつ,今日における「芸術」の多様な在り方を歴史的に概観します。現代の芸術家たちは,「芸術とはなにか」という根本的な問いに向き合うなかでしばしば哲学者たちと対話を繰り広げ,たんに個々の作品を制作するだけでなく,ひとつの運動として活動を展開してきました。とりわけ影響力のあった芸術運動を取りあげて,その絵画・彫刻・音楽・舞台・映画・写真・文芸等の作品を検討しながら,講義を進めていきます。

1 導入
2 芸術の近代と現代
3 表現主義
4 キュビスム
5 未来主義
6 構成主義/絶対主義
7 ダダ
8 シュルレアリスム
9 小括
10 抽象表現主義/アンフォルメル
11 ネオダダ/ポップ・アート
12 ミニマル・アート
13 コンセプチュアル・アート
14 ランド・アート/環境芸術
15 総括


美学演習2「イメージの思考の美学(続)」(大学院・後期月曜3限)
文化人類学者カルロ・セヴェーリ(Carlo Severi, 1952- )の『人格=対象』(L'Objet-personne, 2017/Ogetto-persona, 2018)の読解と検討をおこないます。命なきオブジェが人々に影響力をもち、「力」をふるうのはなぜなのか。数々の芸術作品とその空間を分析することから「イメージの思考」とも言うべき思考の形式を剔抉するセヴェーリの議論をたどります。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,文化人類学と美学の関係,セヴェーリおよび彼の師であるクロード・レヴィ=ストロースの芸術論,に関する基礎知識を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,関連する芸術作品を分析しながら,議論をおこないます。セヴェーリ『人格=対象』はフランス語版をもちいる予定ですが、受講者によってはイタリア語版を使用します。受講者には適宜,文献読解および作品分析の報告,外国語文献の翻訳,議論への参加などを求めます。

* 講読したテクスト:
Carlo Severi, L'Objet personne. Une anthropologie de la croyance visuelle, Paris, Éditions Rue d'Ulm-Musée du quai Branly, 2017.


美学2「仮面の美学」(大学院・後期水曜2限)
文化人類学者クロード・レヴィ=ストロース(Claude Lévi-Strauss, 1908-2009)の芸術論『仮面の道』の読解と検討をおこないます。「感覚的なものに論理があること」の証明を目指したレヴィ=ストロースの神話研究は、感性的認識の学たる美学にとって重要な洞察と示唆を多数含んでおり、本書『仮面の道』も例外ではありません。分析されているのは北米の仮面ですが、そこでもちいられた方法は、たとえばユベール・ダミッシュ『遠近法の起源』でのイタリア・ルネサンス絵画研究はじめ、幾多の芸術研究に影響を与えています。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,レヴィ=ストロースの思想、なかでも彼の美学と芸術論に関する基礎知識を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,関連する文献や作品も検討しつつ,内容について議論をおこないます。レヴィ=ストロース『仮面の道』は日本語訳をもちいますが,受講者にあわせてフランス語原典を使用することもあります。受講者には,文献読解および作品分析の報告,議論への参加,関連する外国語文研の翻訳などを求めます。

教科書:クロード・レヴィ=ストロース『仮面の道』、ちくま学芸文庫、2018年


人文学講義(美学)「ジョルジョ・アガンベン『スタンツェ』読解」(学部・第4学期月曜7・8限および水曜1・2限)
ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben, 1942- )の『スタンツェ――西洋文化における言葉とイメージ』(1977)の読解をおこないます。ミシェル・フーコーの生政治論を継承した怜悧な現代社会分析で注目されている哲学者アガンベンは、一方で若い頃から文学者・芸術家と親交を深め、〈生の形式〉という観点からの独自の美学を提起しています。本講義では、アガンベンによる西洋美学史とも言うべき本書『スタンツェ』を読み解きながら、その美学史上に彼自身の〈生の形式〉の美学を位置づけます。

1 導入
2 第一章「エロスの表象像」読解[1]
3 第一章「エロスの表象像」読解[2]
4 第一章「エロスの表象像」読解[3]
5 第二章「オドラデクの世界で」読解[1]
6 第二章「オドラデクの世界で」読解[2]
7 第二章「オドラデクの世界で」読解[3]
8 第三章「言葉と表象像」読解[1]
9 第三章「言葉と表象像」読解[2]
10 第三章「言葉と表象像」読解[3]
11 第三章「言葉と表象像」読解[4]
12 第三章「言葉と表象像」読解[5]
13 第四章「倒錯したイメージ」読解[1]
14 第四章「倒錯したイメージ」読解[2]
15 総括

教科書:ジョルジョ・アガンベン『スタンツェ』、ちくま学芸文庫、2008年