The Passing : Lectures and Seminars


Home | Preface | Archive | Thinkers | Events | Books | Note


Lectures and Seminars

講義と演習


2024年度
2023年度
2022年度
2021年度
2020年度
□2019年度
2018年度
2017年度
2016年度
2015年度
2014年度
2013年度
2012年度
□2019年度(令和元年度)

岡山大学 文学部/大学院社会文化科学研究科

現代芸術と哲学(教養・第3学期月曜3・4限)
この授業では,20世紀以降の芸術文化と哲学思想の交流に眼を向けつつ,今日における「芸術」の多様な在り方を歴史的に概観します。現代の芸術家たちは,「芸術とはなにか」という根本的な問いに向き合うなかでしばしば哲学者たちと対話を繰り広げ,たんに個々の作品を制作するだけでなく,ひとつの運動として活動を展開してきました。とりわけ影響力のあった芸術運動を取りあげて,その絵画・彫刻・音楽・舞台・映画・写真・文芸等の作品を検討しながら,講義を進めていきます。

1 芸術の近代と現代
2 表現主義
3 キュビスム
4 未来主義
5 小括
6 構成主義/絶対主義
7 ダダ
8 シュルレアリスム
9 小括
10 抽象表現主義/アンフォルメル
11 ネオダダ/ポップ・アート
12 ミニマル・アート
13 コンセプチュアル・アート
14 ランド・アート/環境芸術
15 総括


「現代芸術と哲学」読書案内[PDF]


美学演習2「理論的対象の美学(続々々)」(大学院・後期月曜3限)
哲学者ルイ・マラン(Louis Marin, 1931-1992)の『絵画の不透明性』(Opacité de la peinture, 1989)の読解と検討をおこないます。マランによれば,ルネサンス絵画は近代の表象と記号の理論の基礎を提示しましたが,そこには過去の作品と現代の理論のアナクロニックな関係を理解する糸口があります。「理論的対象」の概念に集約される,過去と現在,作品と理論,の複雑な関係を,『絵画の不透明性』の読解およびルネサンス絵画の分析を通して考察します。あわせて,関連する哲学者・美学者・美術史家の研究文献も検討します(フランス語を中心に,受講者にあわせて英語・イタリア語・ドイツ語・日本語文献を使用します)。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,ルネサンス絵画と表象・記号の理論をめぐる基礎知識を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,重要作品を分析しながら,議論をおこないます。マラン『絵画の不透明性』はフランス語原書を用います。受講者には適宜,文献読解および作品分析の報告,外国語文献の翻訳,議論への参加などを求めます。


人文学概説(美学2)「現代の芸術哲学」(学部・第3・4学期月曜7・8限)、人文学インタラクティブ講義(学部・第3・4学期金曜3・4限)
芸術とはなにか,しかもいまこの時代にとって芸術になんの意味があるのか――この問いかけこそ,今日の芸術がつねに向き合っている問いです。芸術は,たとえば幸福の追求として,あるいは真理の探究として,または社会の鏡として,そして病理の治療として,そのつど多面的な相貌を見せます。本講義では,芸術とはなにかという問いかけが本格化した20世紀以降の芸術と哲学を概観しながら,「芸術」なるものについての理論的な理解を深めます。とりわけ影響力のあった芸術家や哲学者の言葉を読み,それを具体的な絵画・彫刻・音楽・舞台・映画・写真・文芸等の作品と照らし合わせつつ,講義を進めていきます。

第3学期
1. 導入
2. 発見――ベルクソン
3. 直観――クローチェ
4. 現実――オルテガ
5. 技術――ベンヤミン
6. 集団――中井正一
7. 想像――ブルトン
8. 総括

第4学期
1. 導入
2. 認識――レヴィ=ストロース
3. 社会――アドルノ
4. 解釈――バルト
5. 伝統――アガンベン
6. 環境――ガタリ
7. 世界――グリッサン
8. 総括


実践演習(美学)「アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』読解」(学部・第3・4学期火曜3・4限)
「美術史家アビ・ヴァールブルクが晩年に取り組んだ未完の図像集『ムネモシュネ・アトラス』の読解と検討をおこないます。『ムネモシュネ・アトラス』は,西洋の古代から現代にいたるおよそ1000点の図像を,複数の黒地パネル(現存する最終版の記録写真では63枚)のうえに縦横に配置して,西洋文化の歴史を可視化しようとしたものです。日本語版を手引きに,重要なパネルを一つ一つ検討していきます。

はじめの数回の授業は,ヴァールブルクとその『ムネモシュネ・アトラス』に関する概説をおこない,基礎知識を確認します。そのあとは毎回,受講者が各自に割り当てられたパネルの分析結果を報告し,考察と議論をおこないます。あわせて重要な研究文献の読解もおこないます(日本語文献を主としますが,受講者にあわせてドイツ語・英語・フランス語・イタリア語文献を取りあげる場合もあります)。受講者には適宜,担当分のパネル分析と文献読解の報告,外国語文献の翻訳,毎回の議論への参加などを求めます。

教科書:ヴァールブルク『蛇儀礼』三島憲一訳,岩波文庫,2008年(560円+税,ISBN:978-4-00-335721-7)


美学2「ジョルダーノ・ブルーノ『しるしのしるし』読解」(大学院・後期水曜2限)
哲学者ジョルダーノ・ブルーノ(Giordano Bruno, 1548-1600)の『しるしのしるし』(Sigillus sigillorum, 1583)を,ルネサンス期ヨーロッパの哲学思想と芸術文化に関連づけながら,読解と検討をおこないます。あわせて,関連する哲学者・美学者・美術史家の研究文献も検討します(受講者にあわせて日本語・ラテン語・英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語文献を使用します)。

初回(場合によっては数回ほど)は概説として,西洋ルネサンスの哲学と芸術に関する基礎知識を確認します。そのあとは毎回文献を講読し,関連する哲学文献や芸術作品も検討しつつ,内容について議論をおこないます。ブルーノ『しるしのしるし』はラテン語原書をもちいますが,こちらで日本語訳を用意します。関連する文献読解および作品分析の報告,外国語文献の翻訳,議論への参加などを求めます。

*講読したテクスト:
・Giordano Bruno, Sigillus sigillorum [1583], in Opere mnemotechniche, a cura di Marco Matteoli et al., Milano, Adelphi, 2009.



倉敷芸術科学大学 大学院芸術研究科

芸術学特論(川上幸之介・上尾真道との分担、集中)
本講では、川上(本学芸術学部)コーディネートの下、上尾真道先生(ジャック・ラカン、心理学史研究者)と岡本源太先生(岡山大学・美学)が、各々授業の前半と後半を担当し授業を開催する。現代アートに影響を与えている、心理学、哲学、美学を学び、現代アートの新たな展開を論究し、作品を構成する要素をさまざまな角度から再点検する。

1. オリエンテーション

上尾 真道(心理学)
この授業では20世紀の芸術を、精神障害とその臨床実践との関連から歴史的に取り上げる。19世紀末から現代にかけての主要な議論を振り返ることで、近年、注目されるアール・ブリュット/アウトサイダー・アートについて考えるための知識的基盤を獲得する。

1. イントロダクション
2. 19世紀:監禁実践と症状=作品
3. 精神分析:作家と無意識
4. 精神分析:レオナルド・ダ・ヴィンチ論
5. アール・ブリュット前史:プリンツホルン
6. アール・ブリュット前史:アドルフ・ヴェルフリ
7. J. デュビュッフェ:アール・ブリュット
8. アール・ブリュットとフランス思想
9. 総括

岡本 源太(美学)
今日の芸術は社会活動・政治問題・産業経済・科学技術などへ浸透しつつ、その表現領域をますます広げてきている。本講義では、ランシエールやアガンベンらの現代の哲学者・美学者の議論を芸術作品に照らし合わせながら、今日の芸術のありようを理論的に考察する。

1. 芸術の脱人間化
2. 芸術の脱物質化
3. 現代における芸術と政治
4. 現代における芸術と歴史
5. 現代における芸術と自然