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□2025年度(令和7年度)
國學院大學 文学部/大学院文学研究科
基礎演習IIA「アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』読解」(学部・前期火曜3限)
美学・芸術学への入門として、美術史家アビ・ヴァールブルクが晩年に取り組んだ未完の図版集『ムネモシュネ・アトラス』の読解と検討をおこないます。『ムネモシュネ・アトラス』は、西洋の古代から現代にいたるおよそ1000点の図像を、複数のパネル(現存する最終版の記録写真では63枚)のうえに縦横に配置して、西洋文明の歴史を可視化しようとしたものです。日本語版を手引きに、重要なパネルを一つ一つ検討していくことで、美学・芸術学研究の基礎を身につけます。あわせて、関連文献の読解もおこないます。受講者には、担当分のパネル分析と文献読解の報告発表、毎回の議論・グループワークへの参加などを求めます。
美学A「西洋美学史」(学部・前期水曜1限)
古代から近代にいたる西洋の美学史を辿りながら、美と芸術をめぐる思想の数々を検討します。人類の誕生以来、数え切れないほどの芸術が生み出されてきましたが、それと同じくらい古くから人間はその芸術について考え、語りあい、書きしるしてきました。そのなかで西洋の重要文献を読解し、それを西洋美術史の流れと照らしあわせつつ、講義を進めていきます。受講者には、論述試験のほか、毎回の論述課題や議論への参加を求めます。
1 感性――美、芸術
2 模倣――プラトン、プロティノス
3 浄化――アリストテレス
4 感動――キケロ、ロンギノス
5 記憶――旧約聖書、ダマスコスのヨアンネス
6 解釈――オリゲネス、ボナヴェントゥーラ
7 制作――サン・ヴィクトルのフーゴー、トマス・アクィナス
8 均斉――アルベルティ
9 創造――フィチーノ
10 多様――ブルーノ
11 趣味――ヒューム、カント
12 遊戯――シラー
13 歴史――ヴィーコ、ヘーゲル
14 試験
教科書:井奥陽子『近代美学入門』、ちくま新書、2023年
美学・芸術学特殊講義IA「イメージへの愛と憎しみ」(学部・前期金曜3限)
ブリュノ・ラトゥール『近代の〈物神事実〉崇拝について――ならびに「聖像衝突」』の読解と検討をおこないます。イメージとは見かけだけのもの、現実ではないもののはずなのに、わたしたちの感情を激しく掻き立て、愛憎半ばする暴力を引き起こしさえします。とはいえ、そのイメージを批判して現実に回帰しようとすることもまた感情的な暴力の引き金になりえます。このイメージと感情の逆説的な関係をめぐる、ラトゥールの考察をたどります。受講者には、論述試験のほか、関連文献の読解や毎回の議論への参加を求めます。
教科書:ブリュノ・ラトゥール『近代の〈物神事実〉崇拝について――ならびに「聖像衝突」』(荒金直人訳、以文社、2017年)
基礎演習IIB「ルネサンスにおける芸術と思想」(学部・後期火曜3限)
美学・芸術学への入門として、イタリア・ルネサンス絵画の作品と理論を検討します。西洋ルネサンスでは、多彩な芸術作品が生まれるとともに、それが理論言説によって考察されるようになりました。後世の美学と美術史の成立の基礎になったその芸術と思想の絡み合いを、ジョットからティツィアーノまでの絵画作品とアルベルティの絵画理論を照らし合わせて検討することで、美学・芸術学研究の基礎を身につけます。あわせて関連文献の読解もおこないます。受講者には、担当分の作品分析の報告発表(受講者数にもよるがグループ発表の予定)、毎回の議論・グループワークへの参加などを求めます。
美学B「現代美学史」(学部・後期水曜1限)
現代の芸術哲学を巡りながら、美と芸術についての思想の数々を検討します。芸術とは何か、今この時代にとって芸術に何の意味があるのか――この問いこそ、現代の芸術がたえず向き合っているものです。芸術は、たとえば幸福の追求として、あるいは社会の鏡として、または真理の探究として、そして病理の治療として、そのつど多面的な相貌を見せます。今日とくに影響力のある哲学者・思想家・芸術家の言葉を読解し、それを具体的な芸術作品と照らしあわせつつ、講義を進めていきます。受講者には、論述試験のほか、毎回の議論への参加や発言を求めます。
1 現在――近代、現代
2 発見――ベルクソン
3 表現――クローチェ
4 虚構――オルテガ
5 技術――ベンヤミン
6 機械――中井正一
7 想像――ブルトン
8 思考――レヴィ=ストロース
9 社会――アドルノ
10 文化――バルト
11 実験――ドゥルーズ
12 世界――グリッサン
13 生命――アガンベン
14 試験
美学・芸術学特殊講義IB「ルネサンス人文主義の美学的諸問題」(学部・後期金曜3限)
ルネサンス期ヨーロッパを席巻した人文主義(ヒューマニズム)の動向を、美学の観点から再考します。ルネサンス人文主義の根底には、人間の不定形さ、見かけの不確実さ、精神の創造性についての透徹した洞察があり、それを感性的人間の諸相を照らし出すものとして検討します。受講者には、論述試験のほか、関連文献の読解や毎回の議論への参加を求めます。
美学・芸術学演習「ジル・ドゥルーズ『感覚の論理学』読解」(学部・通年金曜5限)
ジル・ドゥルーズ『感覚の論理学』を読解するとともに、そこで言及されているフランシス・ベーコンの絵画を分析します。あわせて、関連する文献や絵画の検討もおこないます。ドゥルーズによれば、絵画の使命とは目に見えない力を見えるようにすることです。おぞましく暴力的でいて、奇妙に静謐でもあるベーコンの絵画に、ドゥルーズは何を見たのでしょうか。絵画はわたしたちに何を感覚させるのでしょうか。ドゥルーズ『感覚の論理学』は宇野邦一訳をもちいますが、受講者によってはフランス語原書を使用することもあります。受講者には、文献読解の報告、絵画分析の発表、毎回の議論への参加などを求めます。
教科書:ジル・ドゥルーズ『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』(宇野邦一訳、河出書房新社、2022年)
東京大学 文学部/大学院人文社会系研究科
美学史講義II/ルネサンス人文主義の美学的諸問題(秋学期火曜4限)
ルネサンス期ヨーロッパを席巻した人文主義(ヒューマニズム)の潮流を、美学の観点から再考します。イタリアを中心に新しい多彩な芸術が生まれたこの時期、哲学もまた人文主義の名のもとに人間の不定形さ、見かけの不確実さ、言葉の曖昧さについての透徹した洞察をもたらしました。とくに芸術と哲学が交差する「見かけ」「あらわれ」「イメージ」の問題に着目しながら、ルネサンス人文主義の洞察を感性的人間の諸相を照らし出すものとして検討します。あわせて、後世への影響と拡散の諸系譜も考察します。受講者には、レポートのほか、関連文献の読解や毎回の議論への参加を求めます。
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