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ジャック・ランシエール(Jacques RANCIÈRE, 1940- フランス)
経験を規定する権力を「感覚しうるのものの布置」と捉え、さらにその布置を変容させる試みを「政治」と捉えて、美学と政治学を架橋しつつ事象や言説を分析していく哲学者。
アルジェの生まれ。高等師範学校を出たあと、哲学の大学教授資格を取得。パリ第八大学で美学を講じていた。
es Temps modernes. Art, temps, politique, Paris : La Fabrique, 2018.
『近代という時代――芸術、時代、政治』
Les bords de la fiction, Paris : Le Seuil, 2017.
『フィクションの縁』
Le sillon du poèm. En lisant Philippe Beck, NOUS, 2016.
『詩の畝――フィリップ・ベックを読みながら』
Le Fil perdu. Essais sur la littérature moderne, Paris : La Fabrique, 2014.
『失われた糸――近代文学についての試論』
Figures de l'histoire, Paris : PUF, 2012.
『歴史の形象』
Aisthesis, Paris : Galilée, 2011.
『アイステーシス――芸術の美学的体制の舞台』
Les écarts du cinéma, Paris : La Fabrique, 2011.
『映画の逸脱』
Moments politiques, Paris : La Fabrique, 2009.
『政治的契機』
Et tant pis pour les gens fatigués. Entretiens, Paris : Editions Amsterdam, 2009.
『疲れた人々はしかたがない――対談集』
Le spectateur émancipé, Paris : La Fabrique, 2008.
『解放された観客』
邦訳『解放された観客』梶田裕訳、法政大学出版局、2013年
Politique de la littérature, Paris : Galilée, 2007.
『文学の政治』
L'espace des mots. De Mallarmé à Broodthaers, Nantes : Musée des Beaux-Arts de Nantes, 2005.
『語の空間――マラルメからブロータスまで』
Chroniques des temps consensuel, Paris : Le Seuil, 2005.
『コンセンサスの時代についての時評』
La haine de la démocratie, Paris : La Fabrique, 2005.
『民主主義への憎悪』
邦訳『民主主義への憎悪』松葉祥一訳、インスクリプト、2008年
Malaise dans l'esthétique, Paris : Galilée, 2004.
『美学における違和感』
現代の芸術批評、アラン・バディウやジャン=フランソワ・リオタールの美学(非美学)、「表象不可能なもの」などを考察しつつ、美学と政治が陥っている「倫理的転回」を批判的に分析したもの。
Les Scénes du peuple, Paris : Horlieu, 2003.
『人民の舞台』
Le Destin des images, Paris : La Fabrique, 2003.
『イメージの運命』
イメージと現実との関係が現代においてどのようなものと考えられているかを分析した論考をはじめとして、イメージ(についての言説)を考察した論文集。邦訳『イメージの運命』堀潤之訳、平凡社、2010年
La Fable cinématographique, Paris : Le Seuil, 2001.
『映画的寓話』
映画論。
L'Inconscient esthétique, Paris : Galilée, 2001.
『美学的無意識』
ジークムント・フロイトの精神分析を可能にしている美学的な思考の体制について論じたもの。
邦訳「美学的無意識」堀潤之訳、『みすず』2004年5月号
Le Partage du sensible, Paris : La Fabrique, 2000.
『感性的なものの分有』
邦訳『感性的なもののパルタージュ』梶田裕訳、法政大学出版局、2009年
La Chair des mots, Paris : Galilée, 1998.
『語の肉』
邦訳『言葉の肉』芳川泰久監訳、せりか書房、2013年
La Parole muette, Paris : Hachette Littératures, 1998.
『無言の発言』
Arrêt sur histoire (avec Jean-Louis Comolli), Paris : Centre Georges Pompidou, 1997.
『歴史のうえでの停止』(ジャン=ルイ・コモリとの共著)
映画論。
Mallarmé, Paris : Hachette Livre, 1996.
『マラルメ』
邦訳『マラルメ――セイレーンの政治学』坂巻康司、森本淳生訳、水声社、2014年
La Mésentente, Paris : Galilée, 1995.
『不和』
経験を規定する権力=「ポリス」を「感覚しうるのものの布置」と捉え、さらに「平等」にもとづいてその布置を変容させる試みを「政治」と捉えて、あらたな政治哲学を提示したもの。邦訳『不和あるいは了解なき了解』松葉祥一、大森秀臣、藤江成夫訳、インスクリプト、2005年。
Les Noms de l'histoire, Paris : Le Seuil, 1992.
『歴史の名』
フェルナン・ブローデルらアナール派の歴史記述を批判し、むしろヴァージニア・ウルフなどの小説に、ジュール・ミシュレに通じるような新たな歴史記述のモデルを見いだそうとしたもの。
Courts voyages au pays du peuple, Paris : Le Seuil, 1990.
『人民の国への短い旅』
Aux bords du politique, Paris : Osiris, 1990; nouvelle édition, Paris : La Fabrique, 1998; Paris : Gallimard, 2004.
『政治的なもののほとりで』
Le Maître ignorant , Paris : Fayard, 1987; rééd. Paris : 10/18, 2004.
『無知な教師』
邦訳『無知な教師――知性の解放について』梶田裕、堀容子訳、法政大学出版局、2011年
Le Philosophe et ses pauvres, Paris : Fayard, 1983.
『哲学者とその貧者たち』
La Nuit des prolétaires, Paris : Fayard, 1981; Paris : Hachette-Pluriel, 1997.
『プロレタリアの夜』
La Leçon d'Althusser, Paris : Gallimard, 1974.
『アルチュセールの教え』
邦訳『アルチュセールの教え』市田良彦ほか訳、航思社、2013年
そのほかの邦訳論文
「不在のポピュリズム」、アラン・バディウほか『人民とはなにか?』市川崇訳、以文社、2015年
「デモクラシーは到来すべきものか? デリダにおける倫理と政治」、フェン・チャー、スザンヌ・ゲルラク編『デリダ――政治的なものの時代へ』藤本一勇、澤里岳史編訳、岩波書店、2012年
「共産主義なき共産主義者たち?」、コスタス・ドゥズィーナス、スラヴォイ・ジジェク編『共産主義の理念』長原豊監訳、水声社、2012年
「民主主義諸国対民主主義」河合孝昭訳、『民主主義は、いま?――不可能な問いへの8つの思想的介入』、以文社、2011年
「民主主義は何かを意味するのか」、コスタス・ドゥージナス編『来たるべきデリダ』藤本一勇監訳、明石書店、2007年
「政治についての10のテーゼ」杉本隆久、松本潤一郎訳、『VOL』第一号、2006年
「くすね盗られた革命」長原豊訳、『現代思想』2005年1月号
「文学の政治」松葉祥一、大森秀臣訳、『百科』2004年4月号、5月号
「デモクラシー、ディセンサス、コミュニケーション」松葉祥一、山尾智美訳、『現代思想』2004年4月号
「教訓なき寓話」堀潤之訳、『批評空間』第III期3号、2002年
「聖女と女相続人」廣瀬純訳、『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』29号、2000年
「闖入者」工藤晋訳、『現代詩手帖』1999年5月号
「映画の登場人物であることのむつかしさについて」渡辺響子訳、『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』27号、1999年
「マリーの映画」川口俊訳、『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』26号、1998年
「宙づりにされた運動」廣瀬純訳、『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』25号、1998年
「困難にあるフィクション」坂本安美訳、『カイエ・デュ・シネマ・ジャポン』24号、1998年
「テクストの舞台」篠原洋治訳、『現代思想』1998年12月号
「《中国女》の赤」森田祐三訳、『批評空間』第II期12号、1997年
「『女の歴史』について」、ジョルジュ・デュビィ、ミシェル・ペロー編『「女の歴史」を批判する』小倉和子訳、藤原書店、1996年
「何の後に」廣瀬浩司訳、ジャン=リュック・ナンシー編『主体の後に誰が来るのか』、現代企画社、1996年
「『一八四四年の草稿』から『資本論』までの批判の概念と経済学批判」、ルイ・アルチュセール編『資本論を読む』(上)今村仁司訳、ちくま学芸文庫、1996年
「歴史修正主義と現代のニヒリズム」安川慶治訳、『現代思想』1995年4月号
インタヴュー
「人民かマルチチュードか」(エリック・アリエズによるインタヴュー)鈴木康丈訳、『現代思想』2003年2月号
「ドゥルーズは美学の運命を成就した」(ダヴィド・ラブワンによるインタヴュー)松葉祥一訳、『批評空間』第III期4号、2002年
「「可能」なる歴史を断ちきって」(コリン・小林によるインタヴュー)、『現代思想』1997年9月号
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