ミシェル・セール(Michel SERRES, 1930-2019 フランス)
すべての秩序の根底にある「契約」をアルゴリズムの思考でもって解明することで、普遍的紐帯としての暴力を回避する道筋を探った哲学者。
アジャンの生まれ。海軍兵学校と高等師範学校で数学、古典古代文学、哲学を修めたのち、哲学の大学教授資格を取得。フランス海軍将校として各地に配属されたあと、クレルモン=フェランとヴァンセンヌの教壇を経て、1969年からはパリ第一大学で科学史を講じていた。1990年よりフランス学士院会員。
Relire le relié, Paris : Le Pommier, 2019.
『綴じられたものを読み返す』
Morales espiègles, Paris : Le Pommier, 2019.
『いたずらの道徳』
C'était mieux avant!, Paris : Le Pommier, 2016.
『昔は良かった!』
Darwin, Bonaparte et le Samaritain, Paris : Le Pommier, 2016.
『ダーウィン、ボナパルト、サマリア人』
Le gaucher boiteux, Paris : Le Pommier, 2015.
『蹇の左利き』
Yeux, Paris : Le Pommier, 2014.
『眼』
Andromaque, veuve noire, Paris : Le Pommier, 2012.
『アンドロマケー、黒い未亡人』
Petite poucette, Paris : Le Pommier, 2012.
『親指姫』
Habiter, Paris : Le Pommier, 2011.
『住むこと』
Musique, Paris : Le Pommier, 2011.
『音楽』
Biogée, Brest : Dialogues.fr, 2010.
『ビオジェ』
Temps des crises, Paris : Le Pommier, 2009.
『危機のとき』
Ecrivains, savants et philosophes font le tour du monde, Paris : Le Pommier, 2009.
『著述家、知識人、哲学者たちは世界を一周する』
邦訳『作家、学者、哲学者は世界を旅する』清水高志訳、水声社、2016年
La Guerre mondiale, Paris : Le Pommier, 2008.
『世界大戦』
邦訳『世界戦争』秋枝茂夫訳、法政大学出版局、2015年
Le mal propre, Paris : Le Pommier, 2008.
『本来的な悪』
Carpaccio. Les esclaves libéres, Paris : Le Pommier, 2007.
『ヴィットーレ・カルパッチョ――解放された奴隷たち』
L'art des ponts. Homo pontifex, Paris : Le Pommier, 2006.
『架け橋の技――ホモ・ポンティフェクス』
Récits d'hummanisme, Paris : Le Pommier, 2006.
『ヒューマニズムの物語』
Rameaux, Paris : Le Pommier, 2004.
『小枝』
普遍性をもたらす「フォーマット」と特異性をもたらす「小枝」のあらたな関係について、歴史と科学、社会と自然とを媒介させながら探求し、「概念」によるとは別の仕方での〈普遍性/特異性〉の架橋を「物語」あるいは「アルゴリズム」に見いだそうとしたもの。邦訳『小枝とフォーマット』内藤雅文訳、法政大学出版局、2006年
L'Incandescent, Paris : Le Pommier, 2003.
『白熱するもの』
邦訳『白熱するもの』豊田彰訳、法政大学出版局、2007年
Jules Verne. la science et l'homme contemporain (entretien avec Jean-Paul Dekiss), Paris : Le Pommier, 2002.
『ジュール・ヴェルヌ――科学と同時代人』(ジャン=ポール・デキスとの対話)
En amour, sommes-nous des bêtes ?, Paris : Le Pommier, 2002.
『愛するとき、わたしたちは動物なのだろうか』
Hominescence, Paris : Le Pommier, 2001.
『オミネサンス』
邦訳『人類再生』米山親能訳、法政大学出版局、2006年
Hergé mon ami, Paris : Moulinsart, 2000.
『エルジェ、我が友』
Variations sur le corps, Paris : Le Pommier, 1999.
『身体についての変奏』
Nouvelles du monde, Paris : Flammarion, 1997.
『世界のニュース』
Éloge de la philosophie en langue française, Paris : Fayard, 1995.
『フランス語の哲学を讃えて』
邦訳『哲学を讃えて』米山親能、和田康、清水高志訳、法政大学出版局、2000年
Atlas, Paris : Julliard, 1994.
『アトラス』
邦訳『アトラス』及川馥、米山親能、清水高志訳、法政大学出版局、2004年
Les Origines de la géométrie. Le tiers livre des fondations, Paris : Flammarion, 1993.
『幾何学の諸起源――基礎づけ第三の書』
ギリシアにおける幾何学の誕生の逸話の数々――タレス、ピタゴラス、アナクシマンドロス、プラトン、等々――を辿りながら、客観性や普遍性へと向かう方途について考察したもの。邦訳『幾何学の起源』豊田彰訳、法政大学出版局、2003年
La Légende des Anges, Paris : Flammarion, 1993.
『天使の伝説』
邦訳『天使の伝説』及川馥訳、法政大学出版局、2002年
Eclaircissements (entretiens avec Bruno Latour), Paris : Francois Bourin, 1992.
『解明』(ブリュノ・ラトゥールとの対話)
みずからの生い立ちについて、方法について、これまでの思索について、これからの思索について、ブリュノ・ラトゥールとの対話のなかで語ったもの。邦訳『解明』梶野吉郎、竹中のぞみ訳、法政大学出版局、1996年
Le Tiers-Instruit, Paris : Francois Bourin, 1992.
『学識ある第三者』
認識や理解における内在化と外在化の運動、主体化と客体化の運動、一人称と三人称について考察したもの。邦訳『第三の知恵』及川馥訳、法政大学出版局、1998年
Le Contrat naturel, Paris : Francois Bourin, 1991.
『自然契約』
社会や政治や文化の問いのなかで「自然」が見落とされ排除されていることを示唆し、その排除が引き起こすさまざまな諸問題(とりわけ環境の破壊や汚染)を解決するために、「社会契約」(ルソー)と同じく「自然契約」を結ぶべきことを論じたもの。邦訳『自然契約』及川馥、米山親能訳、法政大学出版局、1994年
Statues. Le second livre des fondations, Paris : Francois Bourin, 1987.
『彫像――基礎づけ第二の書』
共同体の基礎に「彫像」という無言の死んだ客体が存在することを指摘し、それがいかにして共同体を打ち立てるのか、そのような「彫像」を生じさせる「死の暴力」なしに共同体を打ち立てることは可能かどうかを考察したもの。邦訳『彫像』米山親能訳、法政大学出版局、1997年
L'Hermaphrodite. Sarrasine sculpteur, Paris : Flammarion, 1987.
『ヘルマフロディトス、彫刻家サラジーヌ』
邦訳『両性具有』及川馥訳、法政大学出版局、1996年
Les Cinq Sens, Paris : Grasset, 1985.
『五感』
身体と精神、感覚と言語、感性と知性のありうべき関係、あらたな関係について、多彩な比喩、寓話、神話、体験を経巡りながら考察したもの。邦訳『五感』米山親能訳、法政大学出版局、1991年
Rome. Le livre des fondations, Paris : Grasset, 1983.
『ローマ――基礎づけ第一の書』
ティトゥス・リウィウスの『ローマ史』の読解を通して、共同体の創設と死の暴力との不可分の結びつきを指摘し、そうした暴力のない共同体の可能性を模索したもの。邦訳『ローマ』高尾謙史訳、法政大学出版局、1997年
Détachement, Paris : Flammarion, 1983.
『離脱』
邦訳『離脱の寓話』及川馥訳、法政大学出版局、1985年
Genèse, Paris : Grasset, 1982.
『発生』
邦訳『生成』及川馥訳、法政大学出版局、1983年
Le Parasite, Paris : Grasset, 1980.
『パラジット』
人類学から、生物学、情報学、形而上学までを経巡りながら、等価で安定した交換を掻き乱すパラジット(食客、寄生、ノイズ)の存在について、そしてそのパラジットとのありうべき共生の方法について、ラ・フォンテーヌやルソーのテクストを読解しつつ考察したもの。邦訳『パラジット』及川馥、米山親能訳、法政大学出版局、1987年
Hermès V. Le passage du Nord-Ouest, Paris : Minuit, 1980.
『ヘルメスV、北西航路』
邦訳『北西航路〈ヘルメスV〉』青木研二訳、法政大学出版局、1991年
La Naissance de la physique dans le texte de Lucrèce, Paris : Minuit, 1977.
『ルクレティウスのテクストにおける物理学の誕生』
現代の流体力学の観点からルクレティウスの原子論を解釈しなおし、ルクレティウスのなかに文化と自然を架橋する思想を見いだそうと試みたもの。邦訳『ルクレティウスのテキストにおける物理学の誕生』豊田彰訳、法政大学出版局、1996年
Hermès IV. La distribution, Paris : Minuit, 1977.
『ヘルメスIV、分布』
邦訳『分布〈ヘルメスIV〉』豊田彰訳、法政大学出版局、1990年
Esthétiques. Sur Carpaccio, Paris : Herman, 1975.
『複数の美学――ヴィットーレ・カルパッチョについて』
邦訳『カルパッチョ――美学的探求』阿部宏慈訳、法政大学出版局、2009年
Feux et signaux de brume. Zola, Paris : Grasset, 1975.
『火、そして霧の中の信号――ゾラ』
邦訳『火、そして霧の中の信号――ゾラ』寺田光徳訳、法政大学出版局、1988年
Jouvences. Sur Jules Verne, Paris : Minuit, 1974.
『青春――ジュール・ヴェルヌについて』
邦訳『青春、ジュール・ヴェルヌ論』豊田彰訳、法政大学出版局、1993年
Hermès III. La traduction, Paris : Minuit, 1974.
『ヘルメスIII、翻訳』
邦訳『翻訳〈ヘルメスIII〉』豊田彰、輪田裕訳、法政大学出版局、1990年
Hermès II. L'interférence, Paris : Minuit, 1972.
『ヘルメスII、干渉』
邦訳『干渉〈ヘルメスII〉』豊田彰、輪田裕訳、法政大学出版局、1987年
Hermès I. La communication, Paris : Minuit, 1969.
『ヘルメスI、交通』
邦訳『コミュニケーション〈ヘルメスI〉』豊田彰、青木研二訳、法政大学出版局、1985年
Le Système de Leibniz et ses modeles mathématiques, Paris : PUF, 1968.
『ライプニッツの体系とその数学的モデル』
部分訳『ライプニッツのシステム』竹内信夫、芳川泰久、水林章訳、朝日出版社、1985年
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